コラム

ポイント利用時の会計処理について

以前までポイント利用時の会計処理について会計基準等で明示されていませんでしたが、インボイス制度施行などの影響もあり国税庁から経理処理に関するタックスアンサー「No.6480 事業者が商品購入時にポイントを使用した場合の消費税の仕入税額控除の考え方」が公表されたので当コラムを掲載します。

1. タックスアンサーの概要

タックスアンサーでは、ポイントを使用した場合の消費税の課税仕入に係る支払対価の額について、ポイント使用が「対価の値引き」の場合と「対価の値引きでない」場合の取り扱いが触れられており、それぞれ以下のようになります。

  1. 対価の値引きの場合:値引後の金額が支払対価(レシート表記の例①のケース)
  2. 対価の値引きでない場合:値引前の金額が支払対価(レシート表記の例②のケース)

(出所:国税庁HP)

 

2. ポイントの分類

ポイントには発行主体の観点から主に2つに分類されます。

1つ目は事業者が独自に発行し、自社商品サービスの購入に利用できる独自ポイントであり、主に上記の①のケースに該当することが多いと思われます。

2つ目は楽天ポイントやdポイントなどの既存のポイントプログラムからポイントが発行され、幅広い加盟店での商品サービスの購入に利用できる共通ポイントであり、主に上記の②のケースに該当することが多いと思われます。

3. ポイント利用時の会計処理

ポイント利用時の会計処理は上記「レシート表記の例」に従って処理することとなります。

3-1. 対価の値引きの場合(レシート表記の例①のケース)

借方勘定科目 借方金額 貸方勘定科目 貸方金額 消費税の処理
会議費 530 現金等 1,069 (借方)課税仕入8% (貸方)対象外
消耗品費 539 (借方)課税仕入10%

3-2. 対価の値引きでない場合(レシート表記の例②のケース)

借方勘定科目 借方金額 貸方勘定科目 貸方金額 消費税の処理
会議費 540 現金等 1,069 (借方)課税仕入8% (貸方)対象外
消耗品費 550 雑収入 21 (借方)課税仕入10% (貸方)対象外

まとめ

今回は消費税に関するタックスアンサーを元に、ポイント利用時の会計処理についてご紹介しました。

インボイス制度導入に伴い、基本的に消費税の経理処理については請求書やレシートの表記通りにすれば良く、ポイント利用時の経理処理の判断の余地がなくなるためその点では容易になったようにも思います。

一方でルールが明確になったということは、それに従った厳格な処理を要求されるということなので、経理担当者にしっかりと周知し適切な経理処理が行われるよう体制整備していきましょう。

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